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宮部みゆきさんの小説『ソロモンの偽証』、大ヒット小説で映画化もされています。
小説(全6巻)
ソロモンの偽証〔1〕 [ 宮部みゆき ]
映画(2本立て)
ソロモンの偽証【全2巻】前篇・事件、後篇・裁判
その映画を観たのですが、結局何が「ソロモンの偽証」なのか、モヤッとして終わってしまいました。
ネットで検索したのですが、うまくまとまっているサイトがなく、私がまとめたいと思います。
(以下ネタバレを含みますが、映画しか見ていませんので、映画になくて小説にある部分のネタバレはありません。)
「ソロモン」とは
ソロモンとは、旧約聖書の『列王記』に登場する古代イスラエル(イスラエル王国)の第3代の王です(在位紀元前971年 – 紀元前931年頃)。
古代イスラエルの最盛期を築き、賢い裁きをする人の象徴、知恵の象徴として言われることが多いです。
「偽証」とは
偽証とは偽りの証言をすること、つまり嘘のことです。
特に裁判での嘘を言います。
まとめると、「ソロモンの偽証」とは賢人の嘘であるといえます。
「ソロモン」は誰を指しているか
それではその嘘つきの賢人とは誰なのでしょうか。
最大のヒントとして小説の作者である宮部さんが、ソロモンの偽証の出版社である新潮社のインタビューで発言した内容をピックアップしたいと思います。
宮部さんの発言
聞き手:ソロモン王というのは、神託を受けて人を裁くことを許された人物。それを「偽証」で受けたタイトルですが。
宮部:私の場合、いつもアイデアと一緒にタイトルが出てくる。これが同時に出てこない作品って、大抵ポシャるんです。今回は幸いにも全くブレなかった。敢えて説明してしまうなら、そうですね、最も知恵あるものが嘘をついている。最も権力を持つものが嘘をついている。この場合は学校組織とか、社会がと言ってもいいかもしれません。あるいは、最も正しいことをしようとするものが嘘をついている、ということでしょう。
http://www.shinchosha.co.jp/solomon/interview.html
ソロモンが誰かというポイントは下記の4点にまとめられます。
1.最も知恵ある者
2.最も権力を持つ者(学校組織や社会)
3.最も正しいことをしようとする者
4.嘘をついている者
便宜的にこちらを「ソロモンの4要件」と呼びたいと思います。
では誰か、ズバリ考えていきます!
候補①神原和彦
ネットを見たところ、これが一番の定説のようです。
実際、私も正しいと思います。
候補に挙がる理由としては、エリート校である私立東都大学付属中学校に通い、実際に理知的であるにも関わらず、転落死した柏木卓也の死の真相を学校内裁判の最後まで隠し続けたからです。
また、「知恵ある」だけでなく、裁判では被告人の大出俊次の弁護人を務め、裁判内である程度の「権力」を持っていました。
加えて、柏木くんが死んだのは、「お前が行ったら飛び降りてやる」と自殺宣言をしていたにも関わらず、屋上から帰ってしまった自分に責任があり、自身を殺人者だと認識し、それを裁いてもらおうとする「正しいこと」をしようとしてもいます。
つまり、ソロモンの4要件の全てを満たしています。
しかし、要件2の「権力」は宮部さん自身が「学校や社会」と具体例を挙げていて、そこでの権力者としては神原くんは当てはまりません。
候補②津崎校長
そこで白羽の矢が立つのが津崎校長です。
校長は柏木くんの死後、生徒が更に傷つくのを防ぐため、殺人者は大出くんだとする告発状を公開しませんでした。
ニュースアドベンチャーの記者・茂木に問い詰められても、事実を認めませんでした。これは嘘になります。
校長は常識的な判断として嘘をつき(1.知恵)、
学校で権力を持ち(2.権力)、
生徒を守ろうとしました(3.正しいことをする)。
これらから、十分にソロモンの候補者といえます。
候補③ニュースアドベンチャー記者 茂木
また、社会での権力者として、事件関係者を扇動し大きな影響力を持った記者の茂木もソロモンといえるかもしれません。
茂木はマスコミとして学校の隠蔽を暴くという「正しいこと」もしました。
しかし、茂木は情報の裏の取り方が甘かったりして、あまり賢くはなさそうですので、その点は当てはまらないかもしれません。
また、そもそも勘違いはあれど、嘘はついてませんでした。
候補④三宅樹里
三宅樹里も忘れてはいけません。神原くん同様、裁判まで「大出くんたち3人が柏木くんを屋上から突き落としたのを見た」と嘘をついていました。
告発状をマスコミに送ってスルーされるのを防いだり、常に批判的思考(笑)で、浅井松子をバカにしたりと、地頭はよさそうです。
告発状を書くという点である意味「力」を手に入れましたし、
いじめっ子の大出くんを制裁するという正しい(かもしれない)こともしました。
少なくとも、いじめられっ子自身の視点からは、正しい行いではないでしょうか。
十分にソロモンの候補といえます。
候補⑤藤野涼子
最後に忘れてはならないのが藤野涼子です。
涼子ちゃんは学級委員としていじめはいけないと言っておきながら、見て見ぬふりをしました。
これは十分嘘つきといえます。
亡き柏木くんも「お前みたいな口先だけの偽善者が一番質が悪いんだよぅ」と言い切りました。(笑)
クラスでは学級委員という力を持っていますし、常に懸命な判断をして人とコミュニケーションを取っているように感じます。
品行もいいですし、いじめを見逃すのはある意味「普通」のことなので、普段から正しいことをしているともいえます。
涼子ちゃんもソロモンの候補者ですね。
「ソロモン」レベル比較
まとめると、下記のようになるかと思います。
一番津崎校長が当てはまりますね。
というわけでソロモンは津崎校長です。
と言いたいところですが、お察しの通り、ソロモンは1人ではないのだと思います。
それは宮部さんの以下の発言からも汲み取れることだと思います。
この場合は学校組織とか、社会がと言ってもいいかもしれません。あるいは、最も正しいことをしようとするものが嘘をついている、ということでしょう。
学校もソロモン、社会もソロモン、正しいことをしようとするものもソロモンということです。
このことから、この話で宮部さんが伝えたかったメッセージもわかります。
それは、下記のようなことだと思います。
私達は皆、自分の立場に責任を持ってよく考え、よい行いをしようとするソロモンです。
しかし、自分や他人に嘘をつかないとどこかで行き詰まってしまい、柏木くんのように思い詰めてしまいます。
偽りによって生かされている自分自身を認識しましょう。
柏木くんはどこまでも自分にも他人にも正直なソロモンだったと思います。
保身のために嘘は必須ですが、柏木くんのようなピュアな気持ちをある程度は持っておきたいものですね。
ソロモンの偽証【全2巻】前篇・事件、後篇・裁判 【中古】
ソロモンの偽証〔1〕 [ 宮部みゆき ]