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リサーチ業界出身です。
先日、夜中にたまたま見ていた「お願いランキング」でリサーチャーが出ていて、つい見入ってしまいました。
2018年3月20日0:50-1:20、テレビ朝日で放送された回です。
この回では全国に361店舗を抱える中堅宅配寿司業者ライドオンエクスプレスグループが運営する「銀のさら」の「新規ユーザーを獲得したい」という目的のため、グループインタビューを行っていました。
その中で、2年弱、グループインタビューなどの定性調査をメインの事業とするリサーチ会社に勤めた私の目線ですごかったポイントを書きたいと思います。
ちなみにリサーチ業界の記事はこちらもおすすめです。
喜多あおいとは
(株)ジーワン G-ONE,INC.取締役/
テレビ番組リサーチャー
喜多 あおいさん
きた・あおい ●1964年兵庫県生まれ。
同志社大学卒業後、出版社勤務、新聞社での有料新聞記事データベース構築、作家秘書などを経て、94年からテレビ番組リサーチャーの活動を開始。情報バラエティーからクイズ、ドキュメンタリー、ドラマまでテレビ番組の企画・制作に必要なリサーチを行う。
また、一般企業など広い分野でも活躍中。手がけた主な番組には「行列のできる法律相談所」「それでも、生きてゆく」「ハケンの品格」「なるほど!ザ・ワールド」他多数。
著書に『プロフェッショナルの情報術なぜ、ネットだけではダメなのか?』がある。
最初にテレビで見かけた時は、モデレーティング(インタビューの司会)を生業とする定性調査のリサーチャーかと思いましたが、TV番組の制作に必要な情報を調べるリサーチャーがメインの職業だそうです。
しかし、番組内では、「銀のさら」というクライアントの課題を解決する、典型的なリサーチャーとしての働きをしていました。
これから書いていく点がザ・リサーチャーとやり方がだいぶ違って衝撃的だったのですが、別の業界だからこそ作り出せる独自のやり方があるのかもしれません。
プロが認める喜多あおいのすごいポイント
観察調査とアイスブレイクを一気に解決
「宅配寿司を食べない」を食べるようにするという課題のグループインタビューで、喜多さんはまず最初に町の寿司屋さんの寿司や、回転寿司、スーパーの寿司、宅配寿司などをそれぞれの並べ方で置いておいて、インタビュー対象者(以下、対象者)が自然にどれを食べるかをチェックしました。
↓寿司屋さんのお寿司
↓回転寿司
↓スーパーのお寿司
↓宅配寿司
これは、グループインタビューに「観察調査」という別の調査手法を組み合わせた方法です。
しかも、対象者の緊張を解くアイスブレイクの役割も持たせています。
この結果、対象者は本来一番新鮮そうな「町の寿司屋さん」スタイルの寿司ではなく、宅配寿司に一番手を伸ばすという事実を導き出しました。
この点は、次の「5W1H早聞き」で重要な意味を持つことになります。
「5W1H早聞き」の効率性
モデレーターがよく使う手法として、事前アンケートや、インタビュー中のアンケートがあります。
これは、対象者から聞き出したい情報はあるけど、限られた時間の中で、そこをゆったりインタビューできない場合に使います。
また、グループインタビューでは、対象者同士が他の人の発言に引っ張られてしまうので、それを防止するために、予め「自分だけの考え」を紙に書いてもらうことで、意見をぶれさせない効果もあります。
これはこれで、効率的なやり方でした。
しかし、喜多あおいは違いました。
喜多さんは、8人の各対象者にノート大のホワイトボードとペンをもたせて、その場で次のように質問したのです。
あなたがデリバリーのものを食べるのはいつですか?(WHEN)
(5秒くらいの間隔)
あなたがデリバリーのものを食べるのは誰とですか?(WHO)
(5秒くらいの間隔)
あなたがデリバリーのものを食べるのはどこですか?(WHERE)
(5秒くらいの間隔)
あなたはどんなデリバリーのものを食べますか?(WHAT)
(5秒くらいの間隔)
あなたはなぜそのデリバリーのものを食べますか?(WHY)
(5秒くらいの間隔)
あなたはどうやってそのデリバリーのものを食べますか?
これは、やってみたら分かりますが、かなり短い間隔です。
対象者は瞬時に、普段の自分を思い出してホワイトボードに書かなくてはいけません。
これをやる理由は「考えさせない」ためだそうです。
これは意外と大事で、人は無意識の行動と他人に話す行動に乖離があります。
例えば最近、何かの記事で読みましたが、男性は「自分だけ違うものが好き」と言いたがるそうですが、実は言うほどその傾向はなく、無意識の行動下では「人と同じものを選んでいる」そうです。
無意識に「恥ずかしい」とか「こう見られたい」という気持ちが行動を左右するんですね。
それを見越しての、「5W1H早聞き」だそうです。
脱帽です。
しかも、この質問は6個ありますが、一番聞きたいのは「WHAT」の何を食べるかという部分で、そこで「宅配寿司」が出てくるかを一番探りたかったそうです。
この質問は、「HOW」などと比べて簡単ですが、「WHERE」ほど限定されてはいません。(WHEREは自分の家や会社などが多いと思います)
要するに、「たくさん答えられちゃう」質問なんです。
これをいかに自然な無意識の感覚で引き出すか、それを考えての質問方法だったんですね。
深いです。
ちなみに一番出てきたのは定番の「ピザ」でした。
そして、結論としてここからは「デリバリー商品として全く寿司は出てこない」という重要な事実を導き出しました。
冒頭の寿司バイキングで、あれほど宅配寿司に手を伸ばしていたにも関わらずです。
無意識の行動からあぶり出した、宅配寿司を食べないという事実
この結果、対象者は明らかに「宅配寿司を頼む週間がない」という状態をさらすことになります。
そこに喜多さんは「今みなさんのお話を伺っていて、率直に思ったのですが、宅配寿司をあんなに食べていたのに、なんで実際には宅配寿司を頼まないんですか?」という今回の調査で一番深掘りしたい質問を最高のぶつけ方で出しました。
ちなみに番組での描写はありませんでしたが、普通グループインタビューの対象者は事前にネットのアンケートなどで細かに設定した条件の人のみを呼びます。
そのため、おそらく喜多さんは対象者と会う前から「この人たちは宅配寿司を頼まない人たちだ」と分かっていたはずです。
しかし、寿司を食べて緩んだ口から、このタイミングで聞き出すことで一番正直な意見が得られると思います。
流石です。
そして返ってきた答えの大半は「値段が高い」「馴染みがない」などでした。
これは変えづらい部分です。
しかし、それに混じって「寿司が入っている桶を返すのが面倒」「宅配だと傷んでそう」「食べたくないネタが入ってる」などがありました。
実は、実際には返さなくていい入れ物もありますし、宅配でも傷まないよう最新の注意を払って寿司を作っていて、食べたくないネタはカスタマイズで変更できるのです。
要するに、消費者の不満を解消するサービスは提供されているのに、知られていないということが一番の問題でした。
宅配寿司を頼まない理由は「勘違い」だったのです。
いいサービスも、知られていなければ意味がないんですよね。
銀のさらのサービスも、よく見てみたら、オケのことやネタチェンジのことなど、パンフレットに載ってはいるものの、小さい字で目立たないようになっていました。
(もっとも、パンフレットを手に取る前に知ってもらわなくてはいけない情報かもしれませんが)
そのため、施策の方向性は「サービスを理解してもらう」という方向になりました。
結論だけ聞くと、さも当たり前かのようですが、実際に勘違いしている人を目の当たりにすると納得度が全く違います。
これが、グループインタビューの強いところです。
とってもいい調査だったな、とテレビを見ていて感心しました。
なお、喜多さんのようにリサーチスキルを身に着けたい人には「データサイエンティスト」になることをおすすめします!
Googleのチーフエコノミスト、ハル・ヴァリアンも2009年に「今後10年で最もセクシーな仕事はデータサイエンティスト」だと言っています。
興味のある方はこちらで勉強してみてください!
ちなみにリサーチ業界の記事はこちらもおすすめです。